YT臨床矯正セミナー 基礎コース 第3回目に参加してきました。
- 2024年6月15日
- YT臨床矯正セミナー,学会・セミナー等
いつもお世話になっております。高崎ハルナモ歯科の深澤です。
2024年6月12日は医院をお休みさせて頂き、武内豊先生主催のYT臨床矯正セミナーの基礎コース第3回目を受講してきました。
武内豊先生は日本成人矯正歯科学会副会長を務められている矯正の重鎮の先生です。
第3回は矯正力、矯正材料、荷重とたわみの関係について講義して頂き、自在ろう着の実習を行いました。
矯正には動的治療と静的治療の2種類があります。動的治療とは歯を積極的に動かすために加える力で、静的治療とはリテーナーなどの矯正後の後戻りを防ぐために力を加えることです。動的治療で加える矯正力は大きく器械力と機能力の二種類に分かれ、そこから更に細かく分類されます。1つ1つの力の分類と、その力を生み出す装置等を確認していきました。これは治療目的としての分類方法ですが、それ以外にも力を加える時間の違いでの分類方法や、歯の矯正と骨格の矯正に基づいた分類方法も確認していきました。
また、治療材料に関しては現代矯正学の祖であるDr.Angleが使用していた金合金から、現在までの材料の変遷を辿りました。矯正の歴史は、矯正材料の発展の歴史と言っても過言ではありません。新材料がターニングポイントとなり矯正は発展してきました。現在流行しているマウスピース矯正も材料などの発展によって生まれた新しい矯正方法です。豆知識で教えて頂いたのですが、矯正されている方のお口の中をみると、ブラケットという金属のポッチとワイヤーが歯に付いているのをみたことがある方も多いと思いますが、そのワイヤーはNiTiという金属が使われています。これはもともと宇宙産業のために開発されたものだそうです。またブラケットを歯に付ける技術を開発したのは日本の歯科医師だそうです。
荷重とたわみの関係は、力を物体に加えると物体が変形し、力が取り除かれると元に戻ろうとする現象のことです。中学・高校で習ったバネが一番理解しやすいと思います。歯にワイヤーを入れることでワイヤーの形を変形させ、元の形に戻ろうとする力を利用して、歯を動かします。この物理的な法則は応力-ひずみ曲線というもので表せます。ワイヤー矯正ではベンディングと言ってワイヤーを曲げることがあるのですが、ベンディングは何種類もあり、この荷重とたわみの関係を理解することによって、どのベンディングをどの歯に加えるべきかが理解出るようになります。
午前中にこれらの講義があり、お昼は武内先生行きつけの中華料理屋さんで、みんなで食事を取りました。他院の先生と情報交換をさせて頂きつつ、ご活躍をお聞ききして、モチベーションを高めました。
午後からは自在ろう着の実習を行いました。ろう着とは簡単にいうと溶接のことです。矯正では目的によって、太さの違うワイヤーを使い分けます。(併用もします。)目的とする位置にワイヤーをろう着することによって、歯毎に適切な荷重をかけることが可能になります。
今回も得るものが多い一日でした。今年一年間は毎月第二水曜日はお休みを頂き患者の皆様にはご迷惑をおかけしますが、しっかりと知識や技術を吸収し皆様に還元していけるよう、残りの日数も取り組みたいと思います。