ONE COURSE 2024 TOKYO第3期の第1回目と第2回目に参加してきました。|高崎ハルナモ歯科||高崎市の歯医者・歯科|コープみさと店内

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ONE COURSE 2024 TOKYO第3期の第1回目と第2回目に参加してきました。|高崎ハルナモ歯科||高崎市の歯医者・歯科|コープみさと店内

ONE COURSE 2024 TOKYO第3期の第1回目と第2回目に参加してきました。

いつもお世話になっております。

高崎ハルナモ歯科の深澤です。105日と6日は休診にさせて頂き、洪性文先生が講師を務められるオステム主催のONE COURSE 2024 TOKYO3期の、第1回目と第2回目に参加してきました。

 

洪性文先生はインプラントの世界では非常に有名な先生で、今年のOSTEM Japan Meeting 2024 Tokyoではライブオペの執刀医を務められました。このライブオペはインプラントロジストの中では、最近話題となっているものです。オペの内容としては、上顎前歯部の多数歯に対しての抜歯即時埋入即時荷重という、非常に高難易度の手術を行われました。抜歯即時とは駄目になった歯を抜いてすぐにインプラントを入れる手技で、即時荷重とはその日に仮歯をいれることをいいます。

通常は、駄目になった歯をインプラントに置き換える場合、抜歯後23ヵ月程度傷の治りを待ってから行い、仮歯などの補綴物は埋入後36ヶ月待ってからいれます。抜歯即時や即時荷重は治療期間を短縮するだけでなく、抜歯を行うと、歯の周囲の骨や粘膜は痩せていきますが、抜歯後インプラントをすぐに埋入することで歯肉や骨の形態を維持することができます。

非常に優れた方法なのですが、その分手技の難易度は途轍もなく上がります。インプラントを埋入する外科のスキルだけではなく、補綴への深い理解がないと行えない方法です。ましてや、審美性が問題になる前歯は、ひとつのテクニカルエラーが結果にダイレクトに反映されるので高難易度の術式です。

ライブオペでは、鮮やかなメス捌きでオペを進められていたのですが、仮歯を調整中に、埋入したインプラントが1本取れてしまうというトラブルに見舞われていました。通常は、脱離したインプラントより太い経のインプラントを入れるというのがセオリーですが、オペ中ではなかなかリスク等を考えセオリー通りに手が動かないものです。ましてや、ライブオペという会場だけで200300人の群衆の目が集まっている中です。普通は心が折れて、待時オペに切り替えますし、それを咎める人は通常いません。そうした中でも、リカバリーを粛々と行い、予定通りにオペを終了されていました。

当日はリアルタイムで私はこのオペを見ることはできなかったのですが、所属するインプラント系のグループラインでは、会場で見学された先生方のコメントで埋め尽くされました。後日動画を見た際、画面越しにも会場の熱気と興奮が伝わって来ました。この一件で、さすがは超一流のインプラントロジストだという評価を、ますます不動なものにされている先生のセミナーだったので、寝付きの良い自分でも前日は楽しみでなかなか寝付けませんでした(笑)。

その洪先生が使われているインプラントメーカーがオステムです。世界中でいくつインプラントメーカーがあるかわかりませんが、現在インプラントの世界シェア第3位、販売本数は5年連続で世界1位のメーカーです。オステムは韓国の、どちらかといえば新興メーカーですが、世界の伝統あるメーカーに引けを取らずに評価されています。理由はいろいろあると思いますが、柔軟なシステムが多くのインプラントロジストを惹きつけていると思います。伝統的なメーカーでは、手術器具やインプラント体自体のアップデートが非常に遅かったり、アップデートしても以前のものとは全く互換性がなかったりします。そのため、サイズが微妙に合わないサードパーティの器具を使ったり、症例ごとにインプラント自体を変える必要性があります。オステムでは互換性を残しつつも、器具やインプラント体自体のアップデートが行われ、まさに痒いところに手が届く機材を作ってくれます。この点が、世界的に評価される理由の一つだと思います。

 

1日目の講義は、インプラント埋入におけるガイドの設計の講義から始まりました。インプラントを埋入する時は、CTと模型のデータを元に位置や角度を決めます。その決めた位置や角度がずれないようにするためのマウスピースを、ガイドといいます。このガイドを作るためには、正しい埋入位置はどこかを理解する必要があり、基本的な原理原則を教えてもらいました。

休憩をはさんだ後は、骨とドリリングに関する講義と自習でした。LekholmZarbの分類やMischによる骨質の分類は有名で、カシの木様の硬さやバルサ材の硬さなどと表現されます。知識としては知っていても、実際にドリルで削ったときの感触はわからない状態で、硬さによってどのようにドリリングを変えるべきかということも不明でした。メーカーの方に聞いても、「慎重にやる」や「なんとかやる」などの答えにならない答えが返ってくることもありました。LekholmZarbの分類でもMischによる分類でも骨質を4つに分けますが、オステムでは骨質をHardNormalSoft3つに分類しており、それぞれにドリルプロトコールがあります。オステムでいうところのHardのドリルプロトコールは他メーカーでもありますが、Softへの対応はなかなかありません。この辺の対応が流石だと感心しました。実習では3つの分類を想定した材料を用意して頂き、それぞれに適切なプロトコールに則った場合と則らない場合でインプラント埋入実習を行いました。骨質の違う部位に同時に埋入することはないので、比較を通して手指感覚として骨質の違いが身につき、ドリルプロトコールも理解できました。

実習後は最初の講義と骨質の講義と実習を前提として、体系的に埋入位置の決定について講義してもらいました。最初の講義で教わった原理原則に、各歯牙ごとの注意事項を足していくという感じで、立体的に注意点を理解できました。

 

セミナー1日終了後は、参加希望者による懇談会が行われました。その席で、たまたまある先生が、先程所属していると言っていたインプラント系のグループラインでのオピニオンリーダーの一人であることを知り、ご挨拶をさせて頂きました。LINEだけでの繋がりの方とリアルでお会いしたことはなかったので、色々とお話をさせて頂き、気さくなお人柄に触れ、ますますファンになってしまいました(笑)。また、お酒の席ということもあり、洪先生からクローズドなお話や、教育にかける情熱のお話を聞かせて頂くなど、非常に有意義な時間でした。

 

2日目は、まずカイド下でのインプラント埋入に関する講義と実習を行いました。1日の最後にフリーハンドでの埋入を、2日目では同部位の対側に埋入を行いました。フリーハンドでの埋入時はインプラント同士の平行性、角度、埋入位置、手指に伝わるドリルの感覚などに注意を払いながら行います。ガイドを使用すると、ガイドの浮き上がりの有無と手指に伝わるドリルの感覚のみに注意を払えばいいので、術者のストレスが相当減ります。その結果として、処置時間の短縮に繋がり低侵襲な処置になり、患者さんに福音をもたらします。

お昼休憩を挟んで、午後は臼歯部の抜歯即時についての講義と実習がありました。抜歯の注意点、治癒機序を考慮した埋入位置の決定、初期固定を得るためのドリリング方法などのレクチャーを受けて、模型での実習を行いました。前歯と異なり審美的エリアではないので、手技的に複雑になることはありませんが、解剖学的制約が多くなるため埋入位置の決定は成功を決める重要なポイントになります。

 

2日間に渡る密度の濃いインプラントの講義と実習を受けヘトヘトになりましたが、基礎をみっちりと復習できて充実した2日間になりました。10月はセミナーや学会の用事などがあり、土日祝をお休みさせて頂くことが多く、患者さんにはご迷惑をおかけしております。あらためて、ご理解を頂いていることに感謝申し上げます。