YT臨床矯正セミナー特別コース 第1回目に行ってきました。
- 2025年4月21日
- YT臨床矯正セミナー,学会・セミナー等
いつもお世話になっております。
箕郷町コープの敷地内で開業している高崎ハルナモ歯科、院長の深澤です。
4月10日は医院をお休みにさせて頂き、YT臨床矯正セミナー特別コース第1回目に行ってきました。
YT臨床矯正セミナー特別コースは、昨年度の1年間お世話になった基礎コースの続きです。
基礎コースは、矯正の基本的な考え方や治療手技の習得を目的にしています。
特別コースでは基礎コースで学んだことを前提として、症例分析を学ぶコースです。
講師の武内豊先生は、北海道大学の矯正科で元助教授(今の准教授です)をされていました。
現在では日本成人矯正歯科学会の副会長を務められている矯正では非常に有名な先生です。
特にデーモンシステムという、矯正のシステムでは日本の第一人者といっても過言ではありません。
特別コースは基本的には基礎コースを終了後受けるコースなので、メンバーは昨年とほとんど変わりがありません。
武内先生のお人柄もあり、質問にも気さくにお答え頂ける環境なので、セミナーというよりもゼミに近い形で行われます。
第一回目は、『矯正臨床ジャーナル』で武内先生が連載されていた「Clinical Path in Orthodontics Practice」を用いて、診査診断についての基本的な考え方の確認から始まりました。
診断とは、不正咬合注1の病態の表現、診断と分類の違い、抜歯と診断したのは正しい表現なのか、予後不良とは、などなど、学術用語として誤用していないかを確認しました。
特に強調されていたのが、症例分析を行い、プロブレムリストを作成し、その上で治療計画を立てることです。
症例分析とは、患者さんの現在の状態を把握することです。
矯正では、画像分析と模型分析を行います。この場合の画像分析とは、レントゲンの分析のこといいます。
レントゲンだけで少なくとも、パノラマ注2、側貌セファロ注3、正面セファロ注4を撮ります。
矯正での画像分析は側貌セファロを中心に行います。
これにプラスして、10枚法や14枚法のデンタル注5やCT撮影も行います。
これにプラスして平行模型注6または顎態模型注7を作成して、模型分析注8というものも行います。
症例を分析して、不正咬合の原因となっている問題を抽出し、それを列挙するのがプロブレムリストです。
これは患者さんが気にされている部位のみではなく、症例分析を通して見つかった問題点を全て列挙していきます。
このプロブレムリストでは患者さんの不正咬合を起こしている問題を調べていくので、必ずしも患者さん訴えとは一致しないことがあります。
例えば、患者さんが骨格を気にしてなくても、歯並びが悪い原因が骨格にあることもあります。
このプロブレムリストを元に、治療計画を考えていきます。
武内先生は、プロブレムリストに上がっていない項目が、治療計画に入っていることがないようにと強調されていました。
治療経過の段階で、装置は何を使うか、骨格に問題があるのか、その問題は手術が必要なものかを決めていきます。
午前中の講義後に、全員でお昼を食べにいきました。
YT臨床矯正セミナーでは、全員で武内先生ご贔屓の中華料理屋さんに食べにいくのが習わしになっています。
参加しているメンバーと話をしながら食事を摂るのですが、平日に休みを取ってまでセミナーに参加する方々なので、この時の話題はほとんど歯の話です(笑)。
皆さん、本当に歯科が好きなんだなと思いました。
午後からは、模型やレントゲンの分析を行いました。
今年1年間、木曜日に月1回お休みをいただくため、ご迷惑をおかけしますが、技術向上のためには勉強が必要ですので何卒ご理解とご協力をお願いします。
高崎で矯正をお考えの患者さんがいらっしゃいましたら、高崎ハルナモ歯科にお気軽にご相談ください。
注1:歯並びが悪いことを不正咬合といいます。この原因が、機能にあれば機能性の不正咬合、歯並びに問題があれば歯性の不正咬合、骨格にあれば骨格性不正咬合といったりします。
注2:顎関節まで含めた口周り全体が撮れるレントゲンです。歯全体の状態や、歯を支える歯槽骨の状態、顎関節の状態など全体像を把握するために撮影します。
注3:頭頂部やや下から鎖骨までの、横顔のレントゲン写真です。このレントゲンは撮影位置が規格化されており、術前・術中・術後などの経時的変化を比較するのに適しています。他のレントゲンでは位置付けが、どうしてもずれてしまうため正確な変化を追えないのですが、側貌セファロは位置付けが規格化されているので撮影した位置は常に一定になります。
注4;頭頂部やや下から鎖骨までの正面からのレントゲンです。側貌セファロの正面バージョンですが、規格化されていないので経時変化の比較には用いることはないですありません。また位置付けによるズレがあるので、側貌セファロほどは重要視されていません。骨格の歪みなどを診るのに利用されています。
注5:デンタルとは、3~4歯程度が写るレントゲンで細部がよく写りますが、撮影範囲が狭いです。一般的にはパノラマで全体像を、デンタルで詳細な構造を診ます。10枚法や14枚法は、上下の歯列を10ブロックまたは14ブロックに分けてデンタルを撮ることです。
注6:噛み合わせた時の平面を咬合面といいます。平行模型とは、咬合面と水平面を一致させた模型です。
注7:Simonの3平面という、正中矢状平面、眼窩平面、フランクフルト平面という矯正でよく用いられる平面があります。これらの平面を満たすように作った模型を顎態模型といいます。
注8:模型を使って、歯の大きさや歯をきれいに並べるためにスペースがどの程度必要かなどを調べます。