第3回 新リンガル矯正ベーシックタイポンドコース in 沖縄に行ってきました。|高崎ハルナモ歯科||高崎市の歯医者・歯科|コープみさと店内

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第3回 新リンガル矯正ベーシックタイポンドコース in 沖縄に行ってきました。|高崎ハルナモ歯科||高崎市の歯医者・歯科|コープみさと店内

第3回 新リンガル矯正ベーシックタイポンドコース in 沖縄に行ってきました。

いつもお世話になっております。
箕郷町コープ敷地内で開業している高崎ハルナモ歯科、院長の深澤です。

6月1日、2日は医院をお休みにさせて頂き、日本舌側矯正歯科学会主催の第3回新リンガル矯正ベーシックタイポンドコースに参加してきました。

リンガル矯正は、舌側矯正ともいいます。通常ブラケット(注1)を歯のラビアル(唇側)につけて矯正を行うのですが、リンガル矯正ではリンガル(舌側)につけて行います。リンガルにつけることで、ブラケットが歯の裏側にくるので、目立ちにくく、審美性がラビアルより高まります。

矯正相談で見た目を気にされる患者さんから、リンガル矯正について聞かれることもあり、しっかり勉強をしなければならないと考え、今回参加することになりました。

5月31日は、3時まで診療を行い高崎駅に向かいました。
同じ車両の方が同業者で、新幹線の中でも仕事をしているのを横目に見ながら、私は疲れのため東京駅まで眠りついてしまいました。

羽田空港で一緒に参加するT先生と待ち合わせて、那覇市に向かいました。
久しぶりに合ったT先生とは、ひたすら歯科治療の話をしていました(笑)。

那覇はすでに夏で、外に出ると一気に汗が吹き出すような気候でした。
ホテルにチェックインを済ませ、11時という時間も関係なく、暑さを吹き飛ばすためにオリオンビールで乾杯をしに近くの居酒屋さんに行きました。
T先生は最近咬合にハマっているようでその話を、私はエンドやペリオの話をひたすらに喋って、初日の夜は幕を閉じました。

6月1日は、10時から講義と実習がスタートしました。
舌側矯正は右も左もわからなかったので、聞く話全てが新鮮で興味深いものでした。

理事長の伝法昌広先生から、リンガル矯正の総論ということで、ラビアル矯正とリンガル矯正の考え方の違いやメカニズムの違いを説明してもらいました。
伝法先生は『ガミースマイル』という書籍を昨年出版され、この分野に興味を持つものに取っては、早くもバイブルといわれる名著を上梓されている高名な先生です。

次に椿丈二先生から、装置と特徴のレクチャーがありました。
リンガルで使われるブラケットは、スロット(注2)が水平方向と垂直方向の2タイプがあります。
ラビアルは水平方向のみですが、リンガルでは水平方向では視認性が悪いため、視野確保のために垂直からワイヤーを挿入できるブラケットがあります。
また、ラビアルよりリンガルのほうが矯正力が働きやすいため、NiTi系のワイヤーがワイヤー選択の主軸になります。
ワイヤーの特性や、リトラクション(注3)のメカニクスを考えて、講師の先生が示されたリンガルでのワイヤープロトコルの考え方を知れて、ラビアルのプロトコルへの理解が一層進みました。

佐奈正敏先生から、診断についての講義がありました。
会場にお見えになっている先生方の多くが、矯正を専門にされている方々なので、アドバンスな話が中心になりました。
リンガル矯正では難しいとされている開口症例への診断が中心でした。
初めてみる分析法もあり勉強になりました。

その後、永田雄己先生の症例提示がありました。ラビアルですら難しい症例を、鮮やかにリンガルで治されていて、ラビアル矯正の応用範囲の広さに驚きました。

その後、お昼を挟んで実習に入りました。実習のステップは1~5まであり、講義の合間合間に実習が入るので、集中力を切らさないで、2日間のセミナーを受講できました。
ステップ1は、レベリングといってブラケットスロットを直線に並べるための手技をやりました。
マッシュルームアーチという、リンガル矯正独特のベンディング(注4)を行うのですが、うまく曲がりませんでした。
T先生は、バイト先の医院で曲げているので、鮮やかに曲げているのですが、自分は全然出来ませんでした。
2日目からは、多少曲がるようになったのですが、技術は一朝一夕に身につくものではなく、しっかり練習をしないといけないことを改めて痛感しました。

重枝徹先生から、バイオメカニクス・アンカレッジの講義がありました。
ここでのバイオメカニクスとは、歯の動き方のことで、アンカレッジとは固定源のことです。
例えば矯正で、前歯を引っ込めようとすると、その力の反作用で奥歯は前に出ようとします。
矯正では、反作用で歯が動かないようにするために固定源(アンカレッジ)を必要としています。
ラビアル矯正とリンガル矯正での力のかかり方の違いを、力学的視点から解説してもらい、それに伴うアンカレッジの考え方も解説してもらいました。

実習はステップ2に入り、犬歯の部分移動を行いました。
原理としてはラビアルと大きくは異ならないのですが、マッシュルームアーチのベンディングに四苦八苦しました。

相澤一郎先生と立木智春先生から、ラボワークの説明がありました。
リンガル矯正では、ラビアルよりも正確なブラケットポジションが必要になるため、コアという装置を作ります。
コアは、意図していた位置にブラケットを付けるための装置で、リンガルでは必要不可欠な装置です。
またセットアップモデルといって、矯正後の歯並びを予測した模型を作ります。
これに合わせて、ワイヤーの大きさなども決定していきます。

一日目最後は、伝法昌広先生から装着の話がありました。
リンガル矯正ではブラケットの再着が非常に困難です。
状況によっては、コアから作り直しになるので、一時的に治療がストップすることもあります。
そのため、ブラケット装着はラビアルよりもシビアになります。
ここまで装着について詳しくお話を聞いたのは初めてでした。

一日目終了後、懇親会が開かれました。
お店が、味と踊りの龍宮城うらしまというお店で、いかにも沖縄らしいなと思いました。
そして卓上には当然のように、オリオンビールと泡盛(笑)。
翌日もあるので、軽く飲んでその日は就寝しました。

2日目は朝の9時から、西田吾郎先生の症例発表で始まりました。
西田先生は前日の懇親会でも司会をされており、自分もあんな風に軽快にトークができたらなと憧れてしまうくらい本当に話がうまい先生です。
症例発表のスライドの中でも、スラムダンクの切り抜きを入れられたりしながら、笑いあり涙ありの症例を見させてもらいました。

症例発表後は、森川康之生生のアンカースクリューの講義に移りました。
チタン製の小さいネジを、矯正の時に植え込むことがあります。
このネジを、アンカースクリューと言います。
主に、絶対に動かない固定源として使用しています。
ラビアル矯正でもアンカースクリューは使用するのですが、上顎での埋入位置はラビアルとリンガルで違います。

休憩を挟んで、理事長の伝法昌広先生の症例発表がありました。
ガミースマイルを改善した症例を何症例か見せて頂き、非常に勉強になりました。
最近、歯周外科からガミースマイルを治す方法を学んでいるのに、頭の中で比較もできました。

その後、奥村智恵子先生から患者対応のレクチャーがありました。
リンガル矯正を始める際に説明しておくことや、よくある不快事象への対応を学ばせて頂きました。
ラビアルと共通する部分もありますが、舌の不快感などはリンガル特有の問題であり、MFTでの対応などを知ることができて、MFTへの勉強意欲が湧いて来たのは良かったです。

お昼を挟んで、実習のステップ4~5を行いました。
昨日あんなに曲がらなかった、マッシュルームベンディングは2日目ということもあり、多少曲がるようになって来たのですが、今度はブラケットの機械的なトラブルが頻発してしまいました(泣)。
そのため、実習は満足するまではできませんでしたが、リンガル矯正の流れなどは理解することができました。

吉田賢正先生と症例発表の後、上村祐希先生のが最後の症例発表と講義をされていました。テーマは撤去と保定でした。
撤去はリンガル特有の問題と解決策について知ることができました。
保定は基本的にラビアルと装置に違いはないのですが、審美性への配慮を強調されていました。

今回のセミナーでリンガル矯正の概論は掴めました。
細かい手技や考え方などは、理解が曖昧なところがあるので今後も継続して学習を続けていきたいです。

高崎ハルナモ歯科では一般歯科のみではなく、インプラント、矯正、ダイレクトボンディング、審美歯科などの専門的な治療を提供できるように、常に研鑽を行っております。
なにかお困り事が御座いましたら、気楽にご連絡ください。

注1:ブラケットとは、矯正の時につける金属のポッチのことです。
注2:スロットとは、ブラケットの中央あたりにある溝のことです。
注3:リトラクションとは、歯を後方に移動することです。
注4:ベンディングとは、ワイヤーを任意の形に曲げることです。