THE All-on-4&Zygomaの第3回目に行ってきました。|高崎ハルナモ歯科||高崎市の歯医者・歯科|コープみさと店内

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THE All-on-4&Zygomaの第3回目に行ってきました。|高崎ハルナモ歯科||高崎市の歯医者・歯科|コープみさと店内

THE All-on-4&Zygomaの第3回目に行ってきました。

いつもお世話になっております。
箕郷町コープの敷地内で開業している高崎ハルナモ歯科院長の深澤です。
2024年12月22日(日)は医院をお休みにさせて頂き、橋村吾郎先生が主催されるDOUBLE TOKYOが企画した、THE All-on-4&Zygomaの第3回目に参加して来ました。

All-on-4とは、ポルトガルのリスボンで開業されているパウロ・マロ先生が1998年に開発された無歯顎に対してのインプラント治療の方法です。
All-on-4では無歯顎の患者さんの口腔内を、4本のインプラントで見た目と機能を回復させます。
しかも、インプラントを埋入した日にプロビ(暫間的な仮歯のことです)を入れるので、その日に歯が入っている状態になります。

橋村吾郎先生は、現在銀座にAll-on-4 CLINICというAll-on-4に特化した医院を開業されています。
このクリニックでは全身麻酔まで対応可能な設備や、専属の技工所まで完備しています。
All-on-4の治療では日本のオーソリティで、先生の腕を頼って日本全国から患者さんが訪れています。

第3回目では、ザイゴマインプラントの話が中心になりました。

ザイゴマインプラントとは、頬骨に固定を求めるインプラントのことです。
1980年代にブローネマルクがザイゴマインプラントを開発し、1989年に初めて臨床応用され、1993年に論文として報告されました。
頬骨とは頬のところにある骨で、エラが張っているというのは、解剖学的には頬骨が出ていることをいいます。

ザイゴマインプラントは、All-on-4が何らかの解剖学的制約を受けて行えないときに行う処置です。
ザイゴマインプラントは頬骨に固定を求めるので、眼窩(目が入ってる頭蓋骨のくぼみです)が近くにあります。
ドリルの方向を間違うと、眼窩への穿孔のリスクがあります。
また、眼窩下神経の近くなので神経鈍麻、上顎洞の感染など様々なリスクがあります。
そのため、非常にリスキーな処置です。

そこまでのリスクを負わなくとも、骨造成等をしっかりと行い、時間をかければインプラント処置は行えます(注1)。
また、適応外に対してザイゴマインプラントを行っているとの批判があるもの事実です(注2)。

All-on-4を求める患者さんの多くが、即時荷重と言って、手術を行った日に仮歯が入ることを強く希望されています。
骨造成等を行っていると、患者さんのすぐに歯を入れたいという希望は実現しません。
ですが、All-on-4ならそれが可能になります。
All-on-4が適応外であったとしても、ザイゴマインプラントを使用すれば即時荷重が可能です。

ザイゴマインプラントのように侵襲が高くリスクを伴う処置は、患者さんの希望を聞きつつ、その処置の可否を決定しなければなりません。
また、難易度が高い処置なのでしっかりとしたトレーニングも必要になります。
また安全に行うには全身麻酔が行える設備が必要になります(注3)。
その他にも、ザイゴマインプラントを行うためには、色々と専門の器材が必要になります。

当院では、ザイゴマインプラントを行うことは今後も含めて不可能ですが、ザイゴマインプラントを通してAll-on-4の限界や管理方法を学べたのは、非常に良い収穫になりました。

セミナーでは、長年橋村先生と組んでいる衛生士さんと技工士さんからのレクチャーもありました。
衛生士さんからは、口腔ケアの方法、施術後からの時期により何を食べてよくて何がダメかという摂食指導、患者さんの術前術後の心理的サポートなどの話がありました。
技工士さんからは、All-on-4の上部構造(注4)の材料による取扱いの注意事項や、技工操作方法などがありました。

All-on-4を成功させるためには衛生士や技工士との連携は絶対に欠かせません。
当院では、そのためのスタッフ教育や、技工士さんとの定期的な打ち合わせを行っております。
All-on-4でのご相談が御座いましたら、気楽にお申し付けください。

高崎ハルナモ歯科では、一般歯科のみではなく、インプラント、矯正、ダイレクトボンディング、審美歯科などの高度な歯科治療を提供できるように、常に研鑽を行っております。
なにか、お困り事がございましたら、気楽にご連絡ください。

注1:骨造成とは骨を人工的に作ることです。非常に大掛かりにはなり時間はかかりますが、All-on-4コンセプトで行わなくても無歯顎の人にインプラントを行うことは可能です。All-on-4は傾斜埋入と言って、インプラントを斜めに埋入しますが、上部構造の立ち上がりや力のコントロールを考えると、しっかりと骨造成を行い従来通りまっすぐインプラントを埋入したほうがよいと考える先生もいます。

注2:治療は予後が同じなら低侵襲な処置を行うのが原則です。All-on-4とザイゴマインプラントを比較すると、All-on-4のほうが低侵襲な処置と言えます。なので、原則All-on-4が可能ならAll-on-4を行うべきで、ザイゴマインプラントをやるべきではありません。ただ世の中にはAll-on-4が可能なのに、無理やりザイゴマインプラントを埋入したのでは?と思われる症例がないわけではありません。このあたりは、ある意味ザイゴマインプラントの闇の部分になります。

注3:ザイゴマインプラントは静脈内鎮静法といって、全身麻酔よりも軽い麻酔で行われることがあります。静脈内鎮静法では体動と言って、患者さんが術中に動いてしまうことがあります。頬骨にインプラントを埋入している時に体動が起こると非常に危ないため、橋村先生は全身麻酔下での処置を強く推奨されていました。

注4:上部構造とは、簡単にいうとインプラントに被せる歯のことです。材料や、どこまで審美性を求めるかによって値段が変わってきます。