YT臨床矯正セミナー 基礎コース 第6回目に参加してきました。
- 2024年9月18日
- YT臨床矯正セミナー,学会・セミナー等
いつもお世話になっております。
高崎ハルナモ歯科の深澤です。
2024年9月11日は医院をお休みにさせて頂き、YT臨床矯正セミナーの基礎コース第6回目を受講してきました。1987年から約40年間、数々の歯科医師が受講してきたセミナーです。中にはご両親が昔このセミナーを受けられて、その勧めで現在受講されている先生が何人もいらっしゃいます。ほとんど宣伝をしていないのに、数多くの歯科医師が受講するのは、武内先生のお人柄と深い学識に惹かれてのことだと思います。
前回学んだ舌側弧線装置と床装置の技工作業を行いました。技工作業とは口の中にいれる装置の作成のことです。具体的には入れ歯やマウスピース、差し歯などを作ることを技工作業といいます。
舌側弧線装置は維持装置、主弾線、補助弾線を基本構造としています。弾線とはワイヤーのことで、主弾線は歯列全体に沿う太いワイヤーで、補助断線とは実際に歯を動かすための細いワイヤーです。維持装置は、装置全体を歯に固定する役割を果たしています。バンドという歯全体を覆う輪っかが、この役割をします。これらはすべて、鑞着という溶接を行ってくっつけていきます。バンドと主弾線は直接鑞着するのではなく、STロックという装置を介して鑞着します。今回は鑞着部位が多く、主弾線を歯に沿って曲げるなど、今まで実習でやってきた成果が試されます。
全員で四苦八苦しながら鑞着を行い、ワイヤーベンディング(ワイヤーを曲げることです)をしました。鑞着部がとれてしまったり、STロックの穴が銀鑞でつまってしまったり、ワイヤーが思い通りに曲がらなかったりなどのトラブルを経験しながら、適宜武内先生にご指導を頂きました。こういう模型上での失敗というのは、患者さんに迷惑をかけずに、トラブルシューティングを学べるので非常に勉強になります。私はうまい先生と、そうでない先生の違いはリカバリーショットの差だと考えています。エラーを回避するためには、エラーを多く経験し解決方法を知り、エラーが何故起き、回避するためにはどうすべきかを考察するしかないと考えています。YT臨床矯正セミナーは少人数制なので、他の受講生の先生の失敗も、先生が解説をしてくださるのでリカバリー力が格段に向上しました。
お昼休憩を挟んで舌側弧線装置を完成させてから、床装置の作成に入りました。床装置も舌側弧線装置と同じで色々とバリエーションがありますが、今回は基本的なものを行いました。唇側線という歯の表門に通すワイヤーと、歯に装置を固定するためのクラスプ、粘膜面を覆うプラスチック素材の床の3点で構成されています。舌側弧線装置と違い鑞着はないのですが、ワイヤーベンディングに要求される精度が高く、これも四苦八苦しながら曲げました。すべてのベンディングが終わらなかったため、残りは宿題となりました。
舌側弧線装置と床装置の作製は通常、技工士さんにお願いすることが多く、自分で技工作業をするということは殆どありません。今回装置の作製を行い、改めて技工士さんのありがたみを感じました。また自分で1から技工作業をすることにより、装置への理解や破損時の対応なども学べました。