第11期GPOアドバンスバンスコースに参加して来ました。
いつもお世話になっております。
高崎ハルナモ歯科の深澤です。
2025年1月11日と12日は医院をお休みにさせて頂き、第11期GPOアドバンスバンスコースに参加して来ました。1月11日の10時からレギュラーコースの補講があったため、10日は診療を17時30分までにさせて頂き、大阪に向かいました。GPOのコースではレギュラーコースで一般的な矯正のテクニックや考え方を学び、アドバンスでは成人矯正特有の問題を抱える患者さんの矯正をどのようにおこなうかを学びます。
11日は、レギュラーコースの補講のため朝10時から講義がスタートでした。そのため、9時20分ごろに会場入りしました。会場を見渡すと、大学時代の陸上部の先輩であるS先生に14年ぶりに再開しました。S先生は当時と全くお変わりがなかった一方、自分は横に大きくなってしまったので、先生を見習って、節制に努めなければなと思いました。また、自分の席の周りは名古屋のレギュラーコースで親しくさせて頂いた方が多くららしたので、ご挨拶をして近況報告をしました。
補講はレギュラーコースで行っている内容の復習でした。自分が参加した名古屋コースは2024年の3月から6月に行われたので、前回GPOのセミナーに参加してから半年間の間があったわけですが、その間に溜まった疑問や理解不十分なところが氷解していきました。特にセファロ分析は、半年間の間に何冊か専門書を読み漁ったこともあり知識は増えたのですが、体系的な理解が得られていませんでした。今回補講を受け、知識に一本糸が通ったのを実感しました。
午後から、本題のアドバンスコースがスタートしました。1日目は虫歯と旧補綴物の取り扱い、歯周病の取り扱い 3級の治療方法についていの講義でした。虫歯で大きく歯が侵されている場合、コアという土台を装着し、クラウンという歯全体を被う被せ物をします。また歯と歯の間が大きく虫歯で侵されると、インレーという詰め物をします。コアやクラウン、インレーなどを総称して補綴物といいます。20代前半までの、矯正を希望される患者さんには補綴物が入っていることは少ないのですが、20代後半以降では補綴物が入っていることが多くなります。適合が悪い補綴物が入っていると矯正治療に悪影響を与えるため、これをどう処置するかを教えて頂きました。基本的にはすべて外して、もとの歯の形と同じになるように軸や形を整えたりします。また、虫歯に侵されていない部分のことを残存歯質といいますが、その状態を確認して歯の挺出を矯正治療に組み込むか、最終的に抜歯を行うかを決定します。補綴物の形態に関しても、咬合面はフラットにする、ブラケットをつける面は平坦にしておくなど、成人矯正特有の考え方もレクチャーしてもらいました。
歯周病に罹患していることも成人矯正の特徴の1つです。歯周病のコントロールが不足した状態で矯正治療を始めると、歯周組織に悪影響を与え、仕上がりに悪影響がでることがあります。そのため歯周治療を、矯正治療前にどの程度までしっかりと行っておくべきかを学びました。
3級治療とは、簡単にいうと受け口の治療のことです。骨切りといって、顎の骨を手術して位置を変えないかぎり、プロフィログラム(側貌のことです)を変えることはできません。矯正だけでは顔貌を変えることはできませんが、歯並びだけなら変化させることができます。これをカモフラージュ治療といったりして、この治療のコンセプトを学びました。方法としては非抜歯でおこない、下方向を向いている咬合平面(歯を噛んだ時にできる平面です)を、水平に変えることで、改善を図ります。
20時ごろ講義が終わり、懇親会に行きました。ここでも話す内容は、たいてい歯の治療の話ばかりです。土日を潰してまで勉強にお見えになる先生方なので、趣味が歯科治療という先生が多く、話が合います(笑)。
2日目は朝の9時から1日講義でした。大阪の勉強会でホテルに泊まると、いつも思うのですが朝食バイキングで納豆が人気だということです。大阪人は納豆を食べないと聞いていたので、はじめて朝食バイキングで見た時は驚きを覚えました。きっと関西の人はサービス精神が旺盛な方が多いから、他の地域に気を使ってくださっているのでしょう。
講義は骨格性不正咬合の治療戦略と咬合高径についてから始まりました。歯並びが悪いことを不正咬合といいます。原因として歯が問題なのか、骨格にも問題があるのかで治療戦略が変わってきます。セファロ分析のANBという項目を参照して判断していきます。ANB の値によって治療方法も変わってきますので、値ごとにどのように治療していくかを丁寧に教えてもらいました。また咬合高経は、FMAというセファロ分析の項目で判断していきます。この値によっては骨切りを併用しないと治せないということもありえます。講師の米澤先生から、通常なら手術を併用しないと治せない症例を、手術なしで治している症例を見させて頂き大変参考になりました。
その後、大阪歯科大学の竹信教授が骨切りについての特別講演を行ってくださいました。不正咬合の原因が歯だけではなく、骨格にも問題がある場合は骨切りもおこなわないと不正咬合の原因を改善できません。外科矯正の歴史から、スタンダードな術式や美容外科で行われている手技などをレクチャーして頂きました。
最後の講義は、スタイナーボックスと複雑な治療計画の一端としての前歯・小臼歯欠損についてでした。スタイナーボックスとは、いくつかの検査をおこない、全体的に何ミリスペースが不足しているから歯が並ばないのかを分析するためのツールです。非常に便利な分析ツールなのですが、歯がすべて揃っていることを前提とした考え方なので、欠損が存在することもある成人矯正では使えないこともあります。そのため欠損が存在する場合に、スタイナーボックスをどう応用し活用していくか、治療計画や治療方法をおこなっていくのか学びました。
今回のセミナーでは、旧知の先生と再会もでき、GPOでしか学べないシビアな成人矯正の方法論を学べ良かったです。次回は2月8日と9日にあるのでしっかり復習と予習をして挑みたいです。